弁護士 加納 力

 民事裁判手続のデジタル化が少しずつ進んでいます。ウェブ会議システムを使って法廷に行かずに裁判終結に至る事件も増えてきました。来年5月までには訴えの提起などもオンラインでできるようになりますが、弁護士が訴訟代理人になる場合は、それが義務になるそうです。デジタルに苦手意識のあるベテラン弁護士も少なくないようですが、いつまでもそうは言っていられません。
 デジタル化の目的は、極論すれば、それでみんなが便利になって幸せが増えること。合理化や効率化はしょせん手段です。その結果、不便やきめ細やかなサービスの切り捨てになるなら本末転倒というもの。デジタル化した民事裁判に命を吹き込むには、手続に関わる弁護士の研鑽と工夫が不可欠のようです。
 BEGINの歌に「でーじたらん」という歌があります。デジタルに振り回されると「でーじたらん」(沖縄方言で「とても足りない」の意)になってしまうよと。至言です。