昨年10月3日及び4日、名古屋市にて日弁連の人権擁護大会が行われ、1日目にはシンポジウム「今こそ、『生活保障法』の制定を!」が開催されました。
私は、これに先立ち開催された東京弁護士会主催のプレシンポジウム「生活保護バッシングを乗り越えて」に出演し、昨年、東京地裁で原告勝訴判決を得た生活保護基準引下げ訴訟についての報告をしました。
日弁連のシンポジウムでは、埼玉大学名誉教授の暉峻淑子さんによる基調講演から始まり、当時者の声、基調報告と海外・国内調査報告、作家の雨宮処凜さんら有識者4名によるパネルディスカッションと盛りだくさんの内容でした。
憲法25条による生存権保障を具体化するための制度が生活保護制度ですが、生活保護に対する忌避感や役所窓口の違法対応などのため、貧困とされる人の1割程度しか生活保護制度の利用にたどり着けていません。しかも、外国人には生存権の保障すら及ばないものとされ、非人道的な扱いを受けています。また、度重なる生活保護基準の引下げにより現行の生活保護基準では「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しているとは言い難いのが実情です。シンポジウムでは、こうした現行の生活保護制度の問題点が浮き彫りとなり、制度改善の必要性が確認されました。
そして、2日目の大会では、「生活保護法」から「生活保障法」への改正等を提言内容とする「『生活保障法』の制定等により、すべての人の生存権が保障され、誰もが安心して暮らせる社会の実現を求める決議」が満場一致で採択されました。今後、日弁連には提言内容実現に向けての取組みが求められます。