「家庭裁判所は愛の裁判所なんだよ!」
昨年放映されたNHKの朝ドラ「虎に翼」の中の台詞です。そのような熱い思いで約75年前に創設された家庭裁判所は、離婚や相続など家庭に関する事件や非行を犯した子どもたちの保護事件等を扱い、市民の皆さんにとっては最も身近な裁判所です。特に少子高齢社会の進行に伴い、成年後見事件や子どもを巡る争いが増え、来年には共同親権制度の導入が予定され、家裁に持ち込まれる案件の急増が見込まれます。
しかし、家裁の体制は全く不十分。たとえば東京家裁の裁判官一人あたりが担当している事件数は約500件(!)で、とても丁寧に対応できる状態ではなく、家裁支部によっては裁判官が常駐せず他の裁判所から週に数回、あるいは月に数回来るだけで、次の調停は数ヶ月先、というところもあります。また、家裁には心理学、社会学等の専門的知見をもつ家庭裁判所調査官が少年事件や子の監護をめぐる事件、成年後見事件などに関与していますが、前述のような事件増に比して家裁調査官の定員増は20年間で15人、とごく僅かです。これでは家裁に求められている役割を果たすことは到底できません。
この問題の根底には、国家三権の一つである司法に対し、国家予算の0.3%程度しか充てられていない、ということがあります。日本弁護士連合会では昨年度の人権擁護大会でこのテーマをとりあげ、地域の家裁の改善と充実を求める決議を採択し、この課題に取り組んでおり、関東弁護士会連合会も管内弁護士会と共に、自治体や市民の皆さんを巻き込んで活動しております。皆さまのご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
「愛の裁判所」がその役割を果たすために
~家裁の充実を求めて
カテゴリー:社会の動き