弁護士 長谷川 弥生

 先日、台北のバスの車中で、停車時の勢いで派手に転倒した。後頭部を強く打って、運転手も運転席から降りてきて心配していた。台湾のバスは、車両の問題なのか振動が強く、また運転も総じて荒く、危険を感じることが多い。日本で、バスが止まってから席を立つようアナウンスされ、急停止や急発進自体余りないのとは大きく異なる。
 他方で、台湾の公共交通機関は、身心障礙者權益保障法により、座席総数の15%以上を「博愛座」(=優先席)にするよう義務付けられている。また、博愛座に限らず、座席を譲る光景がよくみられる。
 日本の公共交通機関では、優先席設置義務はなく、国交省による設置基準策定や適正な利用の推進(「心のバリアフリー教育」)の呼び掛けに留まる。席を譲ることにかけては、諸外国に比し最も消極的であろう。
 優先席の設置(存続・廃止)に対する態度や立法状況(設置義務化、罰金の有無等)は、各国で様々であり、社会的文化的背景と併せて比較考察すると興味深い。