弁護士 金井 清吉

 我が国の合計特殊出生率は1.20と公表され、隣国の韓国と同様深刻な少子化が進んでいる。
 政府は今回異次元の少子化対策として、保険料に上乗せ徴した資金で、子育て世帯への児童手当を所得制限を撤廃して高校年代までの支給、第三子は年齢関係なく月3万円に増額する等を掲げている。

 思うにこれらは少子化対策先進国フランスに倣った経済的支援であろう。しかし、フランスの対策とはほど遠い。
 フランスは1930年代から本格的に取組み、1945年には所得税への所謂「N分N乗方式」導入や経済的支援のための家族手当金庫の設立が行われ、多様な家族手当を厚く支給、柔軟な育児休業制度や保育料・授業料の無償化、3人養育すれば年金10%加算等の対策がきめ細かく揃っている。
 また我が国と異なるのは、子の父親が夫とは限らないことである(婚外子が約6割)。日本や韓国と決定的に違うところである。

 日本での婚姻数は47万組(戦後初めて50万組を割込んだ)。原因は明確で雇用の不安定化が深刻なのである。
 これらを解消しないで少子化対策では到底効果を上げ得ないと思わざるをえないのである。

 因みに世論調査では効果に疑問が約7割である。