3月の文部科学省の中央教育審議会特別部会で、慶應義塾大学の伊藤公平塾長が国公立大学の学費を年間約150万円に引き上げるよう提言し、国公立大学の学費は私立大学に対し「一種の不当廉売ではないか」と説明しました。しかしこの提言は、高等教育の均等な機会の付与という考えを無視した内容といわざるを得ません。
ヨーロッパの多くの国では「教育は未来への投資」との考えで、教育に多額な国家予算を計上し「教育無償化」が行われています。国際人権規約A規約第13条には、高等教育について「すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」を定めています。
このような理念を実現するためには、国公立大学の学費を私立大学並に引き上げるのではなく、公的補助を増額し私立大学の学費を下げることこそ必要なのではないでしょうか。
巻頭言
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