昨年9月、大津地裁で薬害ヤコブ病訴訟の最後の原告について和解が成立しました。ヤコブ病は、脳細胞が破壊され認知症状が急速に進行して死に至る不治の病ですが、病原体に汚染された硬膜の移植を受けヤコブ病に感染させられた患者、家族がドイツの製造業者、国などを相手に裁判に立ち上がりました。1996年に大津地裁に提訴され、以後、大津、東京両地裁で裁判が戦われましたが、2002年に被告企業、国との間で基本合意が成立し、被害救済のルールが確立されてからは、順次和解により被害に対する補償が図られこととなり、合計140名の患者について和解が成立しました。
私がこの訴訟に最初に関わったのは、司法修習生だった1998年のことでした。毎回のように弁護団会議を見学させてもらい、2000年に弁護士登録すると同時に弁護団に加入しました。私の弁護士人生の原点となる裁判であり、世紀をまたぎ、4半世紀に渡って関わった裁判がひとつの区切りを迎えたことになります。