目白学園は、都内・埼玉で私立大学等を運営している学校法人です。
2020年4月1日、同法人は、18歳人口の減少の影響により学園の将来の財政状況の悪化が見込まれること、将来の校舎の建て替え費用を捻出するにあたり、工事単価の上昇等を見越して早期に財務立て直しを図る必要があることなどを理由に、一定の年齢の教職員に対し、定期昇給の停止・給与の減額等を内容とする就業規則変更を行いました。
学園のかかる措置により、月額給与だけでなく賞与・退職金への影響も含めると、約1500万円もの生涯賃金の減少となる本件規則変更の有効性について争われたのが本件です。
判決は、人事体系及び給与体系を中心に教職員の労働条件を見直す必要性があることや一定の減額措置をとることの相当性も一概には否定できず、教職員らへの説明プロセス等も適切に行われたと認定しながらも、本件規則変更によって教職員の一部について1000万円位以上減の負担を受けること、それに対する適切な代償措置が講じられていないこと、18歳人口減少による財政への影響が本法人については必ずしも発生するとは限らないこと、将来の校舎建て替え計画も具体的に立案されていたとまでは認められないことなどから、本件規則変更は無効であると判断しました。
追加提訴の一審判決を控えており、また本件も控訴審に移行することから本件の争いはまだ続きますが、紆余曲折ありながらもまずは原告ら組合員の主張が認容されたことは代理人としても安堵しているところです。