弁護士 長谷川 弥生

 4月から神保町の日中友好協会で中国語を習い始めた。講師は楊先生、生徒は、T同学と私の二人で、ゼロからのスタートである。4カ月かけて発音練習に取り組んだあと、今は少しずつ基本文型を習得している。授業の後、その日の内容をぶつぶつ練習していると、いつのまにか新宿御苑の事務所に着いている。
 ときどきふと、駅構内の案内放送や、街中を行き交う人々の話す中国語が、意味を持った言葉に聞こえてくる。形をもたなかったものが像を結ぶ瞬間、白黒の世界がパッと明るくなったようだ。サリバン先生は、ヘレン・ケラーの手に水をかけ、その掌にWATERと書いて、WATERが水であると教えた。単なる記号・音(シニフィアン)と意味(シニフィエ)が結びつくというのが、どうしてこう感動的なのだろう。
 第1回目の授業で、楊先生は、毎日発音練習していると、口の周りが整ってきますよとおっしゃった。まだその効果は見られない。練習が足りていないのかもしれない。

※「大家好」(ダージャーハオ)は、中国語で「みなさんこんにちは」の意味です。