弁護士 金井 清吉

 夏、緑陰の読書は楽しい。
 このところ夏の海は佐渡に、山は奥日光に行くのが慣例となっている。佐渡は周囲を日本海の荒海に囲まれ、比較的涼しいし、奥日光は標高1500mで涼しく温泉もあり、食事を除いて文句はない。

 夏楽しく読むのは海外物の推理ものが圧倒的に多い。若い頃はアガサ・クリスティを読んだが、今はアンソニ-・ホロヴィッツ等である。日本人では以前は藤沢周平に夢中で、生前は新刊を待って読んだ。今は彼に匹敵する時代劇の作家は見当たらないのが残念で仕方がない。

 ところで少し前、数学の『フェルマ-の最終定理』(サイモン・シン著)を電車で読んだ。これは感動ものである。日本人の「谷山-志村予想」が役に立っているのがうれしい。
 数学の証明といえば、私がこの4月に脊柱管狭窄症の手術で入院中NHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか?abc予想証明をめぐる数奇な物語(前編)」(4月10日放送)を病院でみた。これは望月新一教授の全く新しい世界観(理論)の創設をかねており、数学の概念を変えるといっても良いほど非常に興味深く、手術の痛みをしばし忘れ、この夜は眠れなかった。

 今夏の夜は何を読むか楽しみ。