弁護士 新井 章

 私たちの地球社会は、1945年の第二次世界大戦の終結を機に、国際政治の運営方式を一大転換し、「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」という深甚な反省と決意の下に、地球上のすべての紛争を平和的に解決すべく、存在するすべての主権国家を糾合して国際組織(「国際連合」)を創設し、「共同の利益の場合を除く外は、武力を用いないことを─原則の受諾と方法の設定によって─確保」することを明示した上で、その実現のために国連機構内に「安全保障理事会」という機関を設立し、この機関の活動を基軸としてすべての紛議・紛争の平和的な解決に努めてきたわけである。

 このように現今の国際平和確保のあり方は、国際連合の組織と機能に依存した団体運営の方式を採っているのであるから、この原則を離れて個々の構成国が独自で個別的な対処に出ることは許されておらず、このたびのロシア国のウクライナ侵攻もその例外ではあり得ない。