弁護士 新井 章

 近頃は新聞やテレビなどのジャーナリズムで「人生100年時代」という語を見かけることが多くなった。そして、そこに登場する人達も80歳代や90歳代の超高齢者が増えていることを考え併せると、「人生100年」ということも次第に実感をもって受け留められるようになり、「人生100年の時代」の到来が間近と思えてくる。

 私どもが少年期にあった昭和20(1945)年頃まで(昭和前期)の日本では、「人生50年」という言葉が広くいわれていたことを想うと、戦後75年の間に日本人の寿命はほぼ倍増したことになるわけで、この貴重な社会的事実には驚かざるを得ないし、また、「人生100年」の有難味と重みを正面から受け留めて、それをこれからの私達の生き方につなげていくことが大切と感じ入っている今日この頃である。

 しかし、そのことの有り難さ、貴重さを思うにつけても、かような現実をもたらした最大の社会的な要因・背景が、わが国が戦後75年の間「平和」であり続けたことにあることに気付かされるわけで、今更ながら「平和」の尊さ、「平和を確保し、維持すること」の大切さを痛感させられている次第である。