弁護士 金井 清吉

 民法(債権法・相続法)が、大改正されたことは、耳に挟んだことだと思いますが、既に施行されて運用されています。そこでどんな事項について、改正されたのか、この原稿ではいくつかの項目だけでも載せて、改めて注意を喚起したいと思います。

【相続法の改正】

① 配偶者居住権の創設。これは配偶者がその相続開始の時、故人の建物に居住している場合に、一定の期間権利(長期・短期あり)として居住することができるとするものです。
② 遺産分割前における預貯金の一定額を払戻できる制度の創設。これは必要な諸費用確保目的で、その預貯金額の3分の1に、請求人の相続分を乗じた金額で最高額の制限もあります。
③ 遺留分減殺請求権の金銭債権化。
④ 相続人以外の者の特別の寄与分の創設等々。

 

【債権法等の改正】

① 消滅時効の統一化。権利行使可を知った時から5年、行使できる時から10年が原則化。
 例外として、人の生命・身体侵害の賠償は5年、20年。また時効を中止させる手段も変わり、「協議」も時効が猶予される制度が創設されています。
② 法定利率の変更。今まで年5分(5%)でしたが、変動制になり、現在は3分(3%)。
③ 根保証の規律の拡大。個人の根保証(部屋の賃貸借の保証人等)は、契約に極度額が入らないと、根保証契約自体無効となりました。
④ その他、売買の代金減額請求や、請負(契約解除可)等々。

 

 項目だけでも沢山あり、改正が多いので、詳しい内容は気軽にお尋ね下さい。