昨年10月、「非正規」労働者の待遇格差に関する最高裁判決が相次ぎました。
全体の4割弱を占める非正規雇用の正規雇用との待遇格差が労働契約法旧20条の禁ずる「不合理な差別」だと争われたものです。この不合理性については2018年の最高裁判決が「賃金総額でなく各賃金項目毎にその趣旨を個別に考慮する」とした続きで、具体的な格差項目の判断ですが、“同一労働同一賃金”の理解の不十分さは否めません。
まず、更新で継続的雇用の保障のある日本郵便の契約社員について、扶養手当、年末年始勤務手当、年始の祝日給、病気休暇、夏期冬期休暇が正社員に認められている理由は契約社員にも妥当し、これを繁忙期限定の短期間勤務でない契約社員に認めないのは不合理としました。
他方、賞与や退職金については、不合理となる場合はあり、その性質や支給目的などを考慮して判断するとしつつも、今回の各原告の勤める会社では、正職員にだけ支給しても不合理ではないとしました。具体的にはアルバイト職員や契約社員の職務が正職員と共通する部分があっても、正職員にはこれら非正規雇用職員にはない業務や配置転換があり、その職務を遂行しうる人材の確保や定着を図る目的で正職員にだけ支給しても合理的だとしました。退職金については、継続的勤務への功労報酬的性質から、更新で65歳まで勤務できる契約社員に正社員の4分の1を認めた2審判断を支持する反対意見がつきました。
これらの判断は、現在パートタイム・有期雇用労働法8条などに移った規定の解釈に影響を与えると考えられ、特に賞与の否定は、厚労省の「同一労働同一賃金ガイドライン」にすら逆行すると批判されています。