「平成30年労働力調査年報」によれば、有期雇用、短時間労働、派遣労働などの非正規労働者の割合は37.8%に及び、男女別では、男性で約22%、女性で56%となっています。また「平成30年分民間給与実態統計調査結果」によれば、非正規労働者の給与は正規労働者と比べて35.6%にとどまっており、著しい格差があります。
しかしこのような賃金格差には合理的な根拠がない場合が多く、非正規労働者の賃金の均等・均衡待遇をめぐる法整備を受けて、裁判が増加しています。特に、2013年に労働契約法20条(有期雇用労働者の不合理な労働条件の禁止規定)が施行されてから、有期雇用労働者の賃金の均等・均衡待遇をめぐる裁判が多く提起され、精皆勤手当、家族・扶養手当、住宅手当、給食手当、通勤費等の手当の不支給、さらに基本給、賞与、退職金などの格差に合理性がないとした判決が相次ぐようになりました。
こうした中、今年4月には、非正規労働者の賃金の均等・均衡待遇に関するパートタイム・有期雇用労働法8条及び9条、労働者派遣法30条の3が施行されます(重複する労働契約法20条は削除)。パート有期法8条は、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて……不合理と認められる相違を設けてはならない。」と不合理な待遇の禁止を明示しており、この新しい法律を活用し非正規労働者の賃金の均等・均衡処遇のための取り組みを強める必要があります。(なおパート有期法の中小企業への適用は1年後の2021年4月です。)