[憲法特集]
弁護士 江森民夫

私は新憲法が公布された昭和21年の10月に生まれましたが、私の父は昭和21年12月8日に死亡しました。私は父の顔、声などまったく知りません。

私は母から「民夫」という名は父がつけたこと、父は生きていた頃から日本の戦争に批判的だったこと、父は東大附属病院の医師であったこと、一度召集されたが丙種合格で医者として働けということで帰されたこと、父は忙しく働いた中で結核を患って亡くなったことなど聞きました。

こうした母の話から、私は「民夫」という名は、新憲法が公布された年に生まれた子供が、民主主義のもと、臣民でなく国民として健やかに育つことを願って父がつけた名前だと思ってきました。なお私は父もまた戦争犠牲者であったと思っています。

幸い私は憲法の精神に励まされながら、幸せに生きてくることができました。

今、憲法9条を改正する動きが強まる中で、こうした父の願いも大切にし、憲法9条を守って行きたいと思っています。

私が持っているわずかな父の写真から、とっておきの写真をご覧いただきたいと思います。