このような場合、成年後見制度を活用すべきと考えます。
奥様が、判断能力がなくなって、署名することができない場合は、成年後見人を選任してもらう必要があります。成年後見人には、あなた(夫)もなることが可能ですが、契約書の署名等法的手続きにかかわるものが多いような場合は、弁護士を成年後見人に選任してもらうほうがよいでしょう。
あなた(もしくは代理人弁護士)が家庭裁判所に成年後見人選任の申立をすると、成年後見人が選任され、その登記がなされます。
成年後見人は本人を代理して法律行為を行うことができるため、ご質問の契約書には、奥様の成年後見人として署名し、押印(押印も成年後見人の印)することになります。
成年後見人は、奥様の介護のことを考えた上、介護施設に入所する必要がある際には、入所する施設を決め、その施設と入居契約を締結することができます。不動産の売買代金も成年後見人として管理し、入居した施設の諸費用の支払いは、その中から行うことができます。
ただ、弁護士を含む専門資格のある成年後見人にも預かったお金を使い込んでしまうなどの不祥事が発生したことから、最近では、家庭裁判所を通じて、弁護士が後見人であっても、預かったお金が一定額を超えるものは、信託銀行に預けるよう指導がされることになっています。
また、家庭裁判所を通じて選任される成年後見人は、被害者補償の保険に入ることが義務づけられています。
このことに関わって、弁護士等専門家の活用法についてひとこと述べておきます。
第1に、依頼したことについて、定期的な報告をもとめること。
第2に、不安に思ったこと、分からないこと、納得できないことがあったら、質問し、お互い、理解し合えるよう話し合うことが大切と考えます。
ここ数年、ご高齢の方々の財産管理にかかる依頼が増えてきていますが、上記で述べたことを参考にされ、早めに弁護士に相談されるようお勧めします。