未成年の子の親権者を母親とし、毎月の養育費の支払い、1カ月に1~2回程度面会交流を認める内容の覚え書きを取り交わして妻と協議離婚しました。最近、子が嫌がっているからと会えなくなってしまい心配です。会えるようにするにはどうしたらよいでしょうか。このままなら養育費の送金を止めたいと思いますが…。

 

 

 面会交流と養育費は、未成年の子の利益を最優先に考慮して離婚の際に協議すべきで、協議が成立しなければ家庭裁判所(以下「家裁」といいます。)がこれらを決めるとされています(民法766条)。
 養育費は、面会交流の代償ではなく、子の生活の混乱という不利益に直結しますから、支払を止めるのはお勧めできません。
 面会交流を強制的に実現する方法として、面会交流させる義務を履行しないときには一定のお金の支払いを命ずる間接強制による強制執行が考えられます。しかしそれには、協議離婚の際の覚え書きでは足りず、家裁での調停や審判で面会交流の具体的な内容・方法が定まっていることが必要です。
 面会交流は、子の利益を最優先に考慮して認められるものですから、子が虐待やDVのダメージを受けたり、連れ去りのおそれがあるような場合など、子の福祉に反することが予想されるような場合は、面会交流も制限されます。
 子自身が「会いたくない」と言っているという場合、本当にそう言っているのか、子の年齢や発達の程度、拒絶の理由などによって異なってきます。
 家裁の手続では、子が15歳以上の場合はその意見を聴き、15歳未満でも、調査官の調査などで子の意思を把握し考慮することになっています。調査官の調査で子Aの意思が把握できなかったり、子の言動が揺れ動いているときなどは、家裁に、弁護士の「子どもの手続代理人」を選任して貰うことも考えられます。
 面会交流が、子の将来にわたる親子関係の維持にとって重要であることの相互理解があって、その都度の協議でも円滑に進められそうな場合は柔軟な決め方で構わないでしょう。しかし、監護親に会わせたくないという意向が窺え強制執行まで考えざるを得ないときは、調停や審判での決め方で面会交流の日時、時間の長さ、子を引き渡し・返す場所や方法などの特定が足りないと、間接強制が出来ないことがあるので注意が必要です。弁護士に相談してみて下さい。