2015年3月31日、政府より、民法の改正案が国会提出されました。現行民法が制定されたのは、明治29(1896)年であり、これまでも家族法分野などの部分的な改正はなされてきましたが、今回の改正では債権法分野を中心として、時代背景やこれまでの判例法理の積み重ねを反映させた抜本的改正がなされることになります。
債権法分野の大改正、と言われてもなかなかぴんとはこないかもしれませんが、今回の改正は皆さんの生活にも影響を与えるかもしれません。
例えば、インターネット通販で物を購入した場面を想像してみましょう。その際、届いた物が壊れてしまったり数が少なかったりするなど、トラブルに巻き込まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。これまでは民法上、そのような場合に代替物や不足分の請求ができるかどうかはっきり定められてはいませんでした。今回の民法改正案では、そのような代替物・不足分の追完請求が出来ることが明文化されます。
次に、交通事故で怪我を負ってしまった場合です。従前は、損害及び加害者を知ってから3年で消滅時効が成立すると定められており、加害者との交渉が難航した場合には、この期間が過ぎる前に裁判を起こすなどして時効中断の措置をとらなければなりませんでした。しかし、生命や身体を害された場合の損害賠償請求については、保護の必要性が高いことから、消滅時効期間が5年に延長されることになります。
消滅時効の制度については、病院の診療費は3年、飲み屋のツケは1年など、これまで取引ごとに細かく消滅時効期間が定められていたのが5年に統一されるという改正案も盛り込まれましたし、他にも、敷金返還ルールの明文化など、皆さんの生活にも影響がある改正が予定されています。
民法改正によって自分にどのような影響が出るか、気になる方は一度お気軽にご相談頂ければと思います。
民法改正と国民生活への影響
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