昨秋10月に入って最高裁(第一小法廷)から、生存権裁判(老齢加算廃止処分取消訴訟)の京都・福岡各事件について相次いで判決が出され、高齢生活保護者である原告達の請求が斥けられて終わりました。
この裁判では、それまで老齢加算約2万円を含め、月額10万円程の生活扶助費で暮らしてきた70歳以上の高齢生活保護者達が、2004年小泉内閣の時期から突如老齢加算を削減→廃止され、1カ月の生活費を一挙に20%もカットされて、残りわずか8万円弱で生活していかねばならぬ状態に陥らされたので、それでは憲法25条等が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が営めなくなると抗議し、全国各地で10裁判所、100名を超える高齢者達が原告となって提訴に踏み切ったのでした。
これまで約10年に及ぶ裁判闘争の中で、各地各級の裁判所から十指に余る判決が出されたのですが、原告側が勝訴できたのはわずかに1件だけ(福岡高裁一次判決)、他はことごとく敗訴に終わっています。
そこで示された裁判所の見解は、政府側の提出した諸統計をみると、老齢加算を受ける70歳以上の高齢者の消費支出額が69歳以下の者のそれを下回っているので、もはや加算を維持する必要がないということに尽きるのですが、このように裁判所の判決は、国民生活に関する統計数字だけから老齢加算の要否を裁断しているに止まり、高齢生活者の生活実態、とくに加算廃止によって高齢生活保護者達の生活にどれ程の影響(ダメージ)がもたらされるかの、実態の調査・検討が全くなされておりません。
一連の裁判は、すでに大半(新潟・広島・秋田等)が最高裁入りして、大詰めを迎えておりますが、私どもはそのようなこれまでの裁判の重大な欠陥を批判し、克服しながら、「老齢加算復活」の要求を堅持して最後まで取り組み続ける決意でおります。
大詰めにきた生存権裁判
カテゴリー:裁判の動き