先日世田谷文学館の、「茨木のり子展」に行きました。
 この会場に展示されていた、詩人茨木の親しい友人である詩人谷川俊太郎の、「いなくならない 茨木のり子さんに」という詩には、次のような一節があります。

「あなたを失ったとは思っていません
 茨木さん
 悼むこともしたくない
 半世紀を超えるつきあいを
 いまさら絶つなんて無理ですよね
 からだはいなくなったって
 いなくならないあなたがいる
 いつか私が死んだあとも」

 谷川はまた、岩波文庫の「茨木のり子詩集」の選者として、「初々しさ」と題した文章の中に、生前の茨木とのやりとりを次のように書いています。

「何でも言える親しいおつきあいをしていましたから、時折私は苦言を呈しました。例えば有名な『わたしが一番きれいだったとき』の、第五、第六、最終節はないほうがいいとか、『倚りかからず』より『青梅街道』のほうが好きだとか、茨木さんは不満顔ながら素直に聞いてくれました。」

 茨木と谷川は「櫂」という同人誌以来の友人ですが、二人のかくも深くかつ温かい友情と、その表現には感動します。
 私もこのような友情を、一人でも多く持つことができるように、生きて行きたいと思っています。