[我が家の正月料理]
「わが家の正月料理」というお題をいただいたが、困ってしまった。子供の頃、元旦には、お雑煮を食べ、おせち料理らしきものを食べたのであるが、母には申し訳ないが、特にこれといった思い出はない。私も母も東京生まれの東京育ちであるので、地方的な特色も無かったのだと思う。
それでも何か思い出はないかと振り返ってみると、お屠蘇の儀式が思い出される。わが家には漆器製の屠蘇器があり、元日、朝起きると、顔を洗い、服を整えて、兄弟順番に父の前に正座をして、父より大中小三枚重ね杯のうち、一番上の小さな杯にお屠蘇を注いでもらう。そして、礼をして、これを飲み干した後、「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。」と、新年の挨拶を述べるのが一年の始まりであった。幼い頃は、言われるままに、その儀式をしていたが、長じて生意気になるに従い、こうした儀式張ったことを嫌がるようになり、だんだん簡素化され、やがて辞めてしまったように記憶している。
しかし、今振り返ってみると、正月らしい良い風習であった。子どもが物心つくようになったら、やってみようかなと思う。