そろそろ遺言を作成しようと考えています。
 その場合どういう点を気をつけたらいいでしょうか。

 

回答者:弁護士 井澤光朗

 

 遺言には、遺言者の意思を反映させることと相続時の紛争を起こさないようにさせるという二つの意味があります。遺言者の意思を反映させるという意味では、その意思を明確にして遺言を作成することが重要になります。その中には財産に関することだけでなく、祭祀の承継者の指定とか、葬儀のやり方など自分の意思を反映することが可能です。

 また、紛争を起こさないようにするためには、遺留分を無視するわけにはいきません。一定の相続人には、法定相続分の1/2にあたるものが遺留分として保障されています。したがって遺留分を侵害していると、その相続人から遺留分減殺請求権を行使され、結局、紛争が生じてしまいます。そのためには、遺留分を意識した遺言を作成する必要が生じます。ところで、遺留分を侵害しているか否かは法律上と税務上の評価は違いますので、気をつける必要があります。特に法律上は不動産の場合には時価で評価することを注意しなくてはなりませんし、生命保険などは、受取人を明確にしている場合には、相続財産には含まれません。

 また、税務上では相続税を負担しなくてはならないかどうかで遺言を作成する上で気をつけなければならない点が異なります。現在5000万円+相続人の人数×1000万円までは相続税は非課税になっていますが、非課税額の改正を政府は考えていますので、その動向を注視する必要があります。相続税がかかる場合には、その相続税負担に相当する金員を遺言で与えてあげないと、遺言で財産をもらっても相続税が支払えないという問題が発生してきます。相続税の問題ですが、相続税については、小規模住宅の特例などいくつかありますので、その点も考慮して遺言を作成することが必要です。どちらにしても、遺言を作成する場合には専門家の助言を得て作成することが重要です。

 最後に、遺言を作成した場合には、遺言を作成したことを必ず誰かに教えておくことです。そうしないと遺言の存在が誰にもわからず、遺言がない状態と同じになってしまいます。

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