[特集 私のおすすめスポット]
彫刻家舟越保武は、ダミアン神父をモデルにした「病醜のダミアン」像を制作する際、目では見ることのできない精神の高貴さを表そうとしたという。舟越は、盛岡中学在学中、松本俊介らと知り合い、また、彫刻家佐藤忠良と深い友情で結ばれながら制作に励んできた。その舟越が75歳の時、脳梗塞で倒れ、その後再起を懸け、左手だけで作品を刻み続け、制作された「ゴルゴダⅡ」は、高い完成度を示しており、人間の可能性ということに対しても希望を抱かせるものとなっている。舟越の作品には、辛い運命を懸命に生き抜いた人たちへの深い愛情といたわりが込められており、作品からは、静謐で高い精神性が感じられ、そこから強さも伝わってくる。それは、舟越の生まれ故郷岩手・東北の風土が生み出したものでもあるように思われる。したがって、私のおすすめスポットは、イーハ・トーヴ岩手でこの舟越保武の作品を多く所蔵している岩手県立美術館である。
そして、昨年の大震災から復興に向けて懸命の努力をされている方々に、こころからエールを送らせていただきます。