現代社会において、私たちが日々生活するにあたって、食料品や日用品、動産類を購入したりするのは不可欠なことです。そのため、私たちは消費者として、販売業者、製造業者と密接な関わりを持たざるを得ません。また、わが国では、金銭の貸借(消費貸借)は、親族、知人間や銀行取引においてもなされておりますが、消費者金融と言われる貸金業者による取引も多く、その利用者は約2000万人に達すると言われております。
この私たちの置かれている消費者の立場から法的問題を考えるようになったのは、それほど古いことでなく、一定の経済発展を経るなかで意識されるようになってきました。
高度成長期後半の1968年に消費者保護法が制定され、行政規制中心の法整備がなされ、さらに1994年には、消費者が自分の権利を裁判を使って守るための法律として、製造物責任法が制定されております。
サラ金問題が社会問題化するようになった1970年代からは、経済的弱者を高金利の支払いから救済する法理として利息制限法を活用するようになりましたが、この活用が全国に普及するには、何年もの時間がかかりました。
なお、個人破産申立件数は、ヤミ金融規制法が施行された後の2004年には約21万件もあり、また、経済的理由による自殺者数が激増していることからすれば、高金利問題は、借金をしたその人のみならず、社会全体の問題ともいえます。
他方、2000年には、ネズミ講類似の取引形態の続発や、勧誘方法の多様化などに対応して特定商取引法や、消費者と業者との情報量・判断力の格差を是正すべく消費者契約法などが整備されました。しかし、消費者が予期しない被害を蒙る例は後を絶ちません。
昨年秋に、消費者問題を一元的に管理する消費者庁がようやく設置され、集団的消費者被害救済制度研究会を発足させるなど具体的活動を始めています。私たちが安心して商品を購入し生活していくためには、消費者庁に課せられた役割は大切です。本当の意味で、消費者の権利を擁護し、実効性のある組織に育っていくよう皆様と一緒に働きかけていきましょう。