新しく会社を設立しようと思っていますが、会社法の改正でどういう点が変わったのでしょうか。

 

回答者:弁護士 井澤光朗

 

 まず、一番大きく変わったことは、株式会社を設立するには1000万円の資本金(出資額)が必要でしたが、右記のような出資額の制限は一切なくなりました。したがって、極端に言えば、1円でも会社を設立することができます。しかし、会社設立にあたっては、出資額の内、資本金の額を決めなければいけませんし、資本金の額は登記簿上記載されることになります(会社法911条3項)。したがって、出資額が少ないと少ない資本金額が登記簿に載ることになります。

 次に大きく変わったのは類似商号の規定がなくなりました。したがって、同一地域に類似商号の会社があっても、設立ができるようになりました。これは、類似商号については不正競争防止法等の別の法律で規制しようとしているから撤廃することにしました。

 さらに、会社の設立には出資について銀行等の払込証明書が必要でしたが、それも必要なくなりました。発起人の定めた銀行に払い込みをすれば足り(会社法34条)、その銀行に対し払い込まれた金銭の保管に関する証明書の交付を要求することができるようになりました(会社法64条)。これまでは、銀行の払込証明書が設立の要件であったため、銀行等払込取扱銀行としての承諾を得て行わなければならないため、会社の設立の障害になっていたものを撤廃したものです。

 その他には会社法の改正により取締役等の機関が大幅に改正されましたので、取締役を何人するのか、取締役会を設置するのかどうか、監査役を設置するのかどうか、監査役ではなく会計監査人を置くのかどうかなど、大幅に変わりましたので、会社設立にあたって、全て決める必要があります。

 詳しくは弁護士等に相談のうえ、会社の設立をすることをお勧めします。