昨年のベルリン映画祭の受賞作にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の中で起こった「エスニック・クレンジング(民族浄化)」と言われる悲劇をテーマにした作品が選ばれたとのことです。私はその映像を見ながら、戦争は何時でも弱い者に対して最大の災厄をもたらすとともに、その被害を受けた人々は、その被害の過酷さ故、なかなか声をあげることが出来ないということを知り、最大の人権侵害である戦争をなくすことは、現代においても最重要課題であるとの思いを新たにしました。
昨年2007年は、南京事件が起こってから70周年にあたりました。南京事件は、日本が中国に対する本格的侵略を始めた初期の段階で起きた大量虐殺事件です。日本は戦後今日に至るまで戦争被害者に対する個別賠償は全く行っておりません。その上、日本の中には、この事実を隠蔽したり、正確に次の世代に伝えない動きがあり、それは、これら被害を受けた人々の尊厳を犯し、その心を深く傷つけています。
このような状況があったため、私たちは、この機会にアジア・太平洋戦争中の日本軍等による中国をはじめアジア諸国の人々やアメリカ・イギリス・オランダの元捕虜・市民に対する非人道的行為について、学術的研究を深めるとともに、和解の道を探るため、アメリカ、カナダ、イタリア、フランス、ドイツ、中国でのシンポジウムを踏まえ、12月に東京において国際シンポジウムを行いました。多くの人々と戦争の悲劇をなくし、平和な社会を創っていくため語り合えたのは有益なことでした。
今年は、5月に日本で9条世界会議が予定されております。平和な世界を創っていくため、いっしょにがんばってみませんか。