江角マキ子や天海祐希演じる女性弁護士がTVドラマで活躍するなど、女性弁護士はいまや珍しい存在ではなくなりつつあります。司法試験の合格者も4人に1人は女性。当事務所にもこの秋、新人の女性弁護士が入所します。

 ところが、弁護士業界はまだまだひどい「男社会」であるのが現実です。たとえば、日本弁護士連合会(日弁連)の正副会長のうち女性はゼロ。議決機関である理事会も71人のうち女性は3人だけで(4.2%)、国会議員の女性割合よりもずっと少ない状況です。また、経済的にも、働いている時間はほとんど変わらないのに女性弁護士の平均収入は男性の40%未満(2002年 日弁連調べ)、という男女格差があり、妊娠・出産へのサポートも十分ではありません。資格のうえでは平等であるがゆえに、かえってこのような実質的な不平等が放置されてきたのでしょう。

 しかし、人権を守り社会正義を実現すべき弁護士の足もとがこのような状態では、市民の皆さんの信頼を得ることはできませんし、男女共同参画社会を実現していこうという社会の動きにも逆行します。

 そこで、弁護士会としても男女共同参画を本格的に進めよう、という取組が、遅ればせながらようやく始まりました。

 私が所属する第二東京弁護士会では、今年1月、「第二東京弁護士会における男女共同参画基本計画」を総会で満場一致で採択しました。

 また、日弁連でも、本年4月、「男女共同参画施策基本大綱」を理事会で承認し、さらに本年5月の定期総会で「日本弁護士連合会における男女共同参画の実現をめざす決議」を採択して、弁護士会における男女の実質的な平等を図り、女性弁護士の積極的な参画の拡大を実現する決意を宣言しました。

 今後はこれをいかに具体的に実行していくのか、そのための会内のコンセンサスをどうやって作っていくのか、が重要な課題です。

 皆様にも、弁護士会が自らを「男社会」から「男女平等社会」に変えることができるか、関心をもっていただければと思います。