人の暮らしにはどうしても生活騒音が伴います。そのため、ある程度の騒音はお互い様のこととして受け止めざるを得ません。しかし、当人にとっては何でもない音でも、近隣の住人にはひどく不快に感じられるというのはままあることです。騒音を出すのもお互い様なら、我慢するのもお互い様ですから、社会通念に照らして我慢の限界(=受忍限度)を超える騒音に対しては、規制が必要になります。
生活騒音に対する受忍限度の基準としては、自治体が定めた騒音規制条例が参考になります。東京都では「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」が定められており、何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない(136条)とされ、低層住居専用地域の場合、45dB(夜間早朝は40dB)を超える音量が隣地に漏れてはいけないとされています。また、夜間早朝は何人も道路その他の公共の場所において、みだりに付近の静穏を害する行為をしてはならない(133条)とされています。人の話し声は約50~60dB、大声だと90dB前後にもなりますから、開け放った窓辺で大勢で大騒ぎをすれば、条例の規制を上回ってしまうことは必至でしょう。
解決方法としては、まずは話し合いを試みるのが望ましいと思います。この場合、当の本人には話しにくいようでしたら、アパートの大家さんや管理会社を通じて改善を求めるとよいでしょう。また、地元市区町村役場の公害指導係(新宿区の例)などに苦情を申し立て、改善指導をしてもらう方法もあります。多くの自治体では騒音計の貸し出しもしています。
騒音が著しい場合、裁判手続によって差止めや慰謝料の請求をすることもあります。 最近では、某大学運動部の合宿所の騒音が著しく、大学側の騒音対策も不十分だったとして、近隣住人の慰謝料請求が認められた判決(東京地方裁判所2006年3月15日) もありました。