暑中お見舞い申し上げます

 戦後われわれが目指した「社会」が変革の荒波にのまれています。敗戦を契機として日本国民が目指したものは、民主的でリベラルな福祉社会の実現でした。平和と国民の幸せをもたらす社会はかかる理念の社会であるとされ、政治家も官僚もその実現を目指してきました。実現手段が官僚主導であったため硬直的かつ非効率的であり、更に権力的で時にこれが目的化したこともあって非難され、ここに改革の基本があったと考えられます。ところで中曽根内閣以来この理念が抜本的に転換し、小泉首相が半ば仕上げてきたそれは、資本論理の「無制限競争社会」の実現でした。この害悪を制御してきたのが歴史でもあります。今夏は「改革」検証の時です。元に戻せというのでは決してなく、何のための改革か、その目的・視点を改めて問い直す転換の時であります。単に「改革」という名で踊ってはならないと思います。