幸せになるために
この記事は約 2 分で読めます。
今日、東京地裁は同性婚訴訟で、原告らの請求を棄却した一方、同性間の婚姻やそれに類する制度がない現状は、個人の尊厳の観点から重大な障害で、脅威であり、憲法24条2項に違反する状態にあるとする判決を言い渡しました。
国側は、憲法24条が想定しているのは男女の異性カップルの婚姻のみで、同性婚は想定していないという反論をしていましたが、今日の東京地裁判決は、そうした国の言い訳を一蹴した格好です。
ここで、憲法24条の規定を見てみましょう。
日本国憲法24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
なるほど、憲法24条には「両性」とか「夫婦」というワードが用いられていることからすると、少なくとも制定当時、異性婚を念頭に置いたものであったことは推測できます。
しかし、日本国憲法が想定する人権の主体としての「人」は、性別にかかわらない「個人」であって、「個人」が人格的主体としての尊厳を守り、幸福を追求する権利があるとされているのです。
日本国憲法13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
結婚という幸福追求の形は、国の婚姻制度によって保障されるわけですが、同性カップルには今までそうした制度がなかった。なぜなかったのかといえば、憲法が禁止していたわけではなく、想定していなかった、言いかえれば、性の多様性に気付いていなかったということです。
そうなると話は簡単です。
問題に気付いた以上、すみやかに制度を整備すればいいのです。
今日の東京地裁判決も、同性カップルが家族となる法制度がないのは「人格的生存に対する重大な脅威、障害」であって、憲法に違反している状態だとしたのですから。
同性婚が認められても、公共の福祉に反することはありません。
同性カップルが幸せになるだけです。
世の中の幸せの総和が増える制度の整備に臆することはありません。
それこそ、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要」(憲法13条)とされていることなのです。
最後に、以前にも紹介した、「ドラえもん」の中から、しずかちゃんのパパのセリフを引用します。
あの青年は、人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。
それが一番人間にとって大事なことだからね。
関連記事
-
定年後再雇用の賃金格差は違法 東京地裁判決
5月13日、定年後再雇用された労働者が定年前と同じ賃金を支払うよう勤務先の会社 …
-
正規・非正規間の格差是正の一歩となるか?
先週14日、正規・非正規間の待遇格差について画期的な判決が下されました。 昨日か …
-
一日も早い水俣病被害者救済を
9月27日、大阪地裁で水俣病訴訟の判決がありました。 水俣病って、まだ裁判やって …
-
親子なのに親子と認めない
ちょうど10日前の8月19日、東京高等裁判所は、ある家族の親子関係の存否をめぐる …
-
判決で止められない公害
本日、東京高等裁判所は、横田基地を離着陸する軍用機の騒音などによる損害賠償と夜間 …
-
再審無罪
昨日、袴田事件再審の地裁判決で、袴田巌さんが無罪の判決を受けました。 袴田さんは …
-
国が請求を認諾するとは
森友学園事件をめぐる書類の改ざんを強いられた近畿財務局の職員が自死 …
-
生活保護減額 国に賠償命令
11月30日、国が2013年から生活保護基準を引き下げたのは生活保護法違反である …
-
東電刑事裁判に思う
昨日、福島第一原子力発電所の事故をめぐり、東京電力の旧経営陣が業務上過失致死傷の …
-
清原元選手の初公判に思う
今日は元プロ野球選手の清原和博被告の初公判がありましたね。彼のように自分自身の力 …