死刑の方法
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刑法11条1項は、
死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。
と定めています。
死刑の方法については、世界的に見ると、絞首以外に、電気椅子、ガス室、薬物投与といった方法のほか、銃殺や斬首といった、血なまぐさい方法もあるようです。かつてフランスなどで行われていたギロチンも斬首の一種ですね。
今日、絞首刑による死刑執行は残虐な刑罰を禁じる憲法などに違反するとして、確定死刑囚3人が、国を相手取って絞首刑による死刑執行の差し止めなどを求める訴訟を大阪地裁に起こしたことが報じられました。
日本国憲法36条は、
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
と定めていて、絞首刑がこれに当たるのではないかということです。
同種の裁判は過去にも繰り返されていて、最高裁判所は死刑の方法としての絞首刑が残虐な刑罰には当たらないとされてきましたが、「残虐な刑罰」に当たるかどうかは時代や環境によっても変わるものです。安楽死さえ認める国が出てきている時代にあって、本当に絞首刑が残虐でないのかどうか、改めて問われることになります。
ところで、この裁判に対して、「死刑になるような罪を犯した人に対しては、むしろ残虐な刑罰が科される方が、見せしめになるのではないか」という意見があります。
そうした意見が出てくることは予想されることですし、この短い記事の中で、その意見の当否を論ずるつもりもありません。
ただ、この問題を考える上でのヒントを2つ示しておきたいと思います。
1つは死刑という刑罰の意味です。
刑法9条は、刑の種類として、
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
と定めています。
ちなみに、今年成立した刑法等の一部を改正する法律により、今後懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化される予定です(現時点では未施行)。
これらを整理すると、「生命」「自由」「金銭」を奪うという、3種類に分けられていることが分かります。これらを奪う過程で、痛みや苦しみが不可避的に伴いますが、あくまでもそれ(痛みや苦しみ)は本来の刑罰ではありません。
生命を奪うことが死刑の本質であるならば、苦痛は最小限でよいということにならないでしょうか。
2点目は死刑判決をする裁判官や裁判員の視点です。
著しい身体的苦痛を伴う死刑が予定されている場合と、例えば薬物投与などで急激に意識を失って死に至る死刑が予定されている場合とで、死刑判決を求められている裁判官・裁判員が刑の選択(死刑か無期懲役かなど)をする際に、少なからず違いが生じないか、という点です。極論すれば、穏やかな死刑は、死刑の選択に際しての心理的なハードルを下げることにならないか、逆に、苛烈な死刑は、死刑判断を回避する方に作用しないかということです。
いずれも何が正しくて、何が間違っているのかを示すわけでもなければ、筆者の考えを示すものでもありません。
死刑など、ご自身の生活とは無関係と思われている方も多いと思いますが、裁判員制度がある以上、無関係ではいられません。
みなさんは、どう考えますか。
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