弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

広辞苑とLGBT

 

この記事は約 2 分で読めます。

10年ぶりに改訂された広辞苑第7版、発売されましたね。
たまたま広辞苑の編集者が高校のクラスメイトということもあって、他人事ながら少し特別な思いを抱いています。まずは大きな成果に賛辞と労いの言葉を贈りたいと思います。

さて、そんな広辞苑に、見出し語として「LGBT」という語が新たに採用されたことが、発売前から話題になっていました。性的少数者であるレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取って「LGBT」と言われていますが、性的指向や性自認はこの4種類にとどまるものではなく、「LGBTTQQIAAP」という語もあるくらいに、性に関する多様性は連続的なんですね。LGBTの運動にしばしば登場するレインボーフラッグも、様々な色が連続的に並ぶ虹が、多様性を表しているからなのだそうです。1

ところが、この「LGBT」に関する広辞苑の説明が間違っているとの指摘がなされています。
広辞苑では「LGBT」を「多数派とは異なる性的指向をもつ人々」と説明しているのですが、たしかに「LGB」は性的指向に関するものだけれど、「T」は性自認に関するものなので、説明が不十分だ、という指摘です。

なるほど、この指摘は的を得たものです。2
調べてみると、「LGBT」とともに「SOGI」という語もあって、これは「Sexual Orientation & Gender Identity」、すなわち「性的指向と性自認」という概念を表しているのだそうです。
SOGIという切り口をもってLGBTを見れば、広辞苑が説明不足だということは一目瞭然です。新しく採用されて注目された見出し語だけに、惜しい!と思わざるを得ません。

岩波書店も早速修正を検討しているとのことですが、「紙幅の都合で」などと言い訳しないところには好感を持てます。これは贔屓目か?

 

 

1. 近ごろのアイドルグループもメンバーごとにいろいろな色を、と書こうと思っていたら、その代表的なグループから1名卒業とのこと。そうでしたか。
2. 「的を射る」の誤用説もありますが、この誤用説の方が俗説であるというのが有力です。

 - 話題 , ,

  関連記事

青海(あおみ)と青梅(おうめ)

週末の出来事だったようですが、お台場「ヴィーナスフォート」で行われるアイドルフェ …

英国が欧州連合離脱へ

正直、ほとんどの人はこの国民投票の結果を予想していなかったのではないかと思います …

高輪Gateway

家電量販店のCMソングでお馴染みの「まあるいみどりの山手線」は、実は円くはないの …

取り戻すまでもない

働かざる者食うべからず  この言葉は、しばしばレーニンの言葉として伝えられていま …

最高裁を舞台にした違憲行為

  先日NHK EテレのETV特集で「誰のための司法か~團藤重光 最高 …

不適切だが違法ではない

昨日行われた東京都議会総務委員会の集中審議で、舛添要一都知事の辞任は既定路線にな …

無期転換ルール取組促進キャンペーン

  厚生労働省が、今日9月1日から「無期転換ルール取組促進キャンペーン …

火に油を注ぐ

受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が国会で審議されているようですが、今月15 …

防衛省と住民基本台帳

自衛官募集のために地方自治体が協力してくれないけれど、自衛隊を憲法に明記すれば、 …

ゴーン氏逮捕と人質司法

今週は東京地検特捜部による日産自動車の会長の電撃逮捕という大きなニュースがありま …