人の振り見て
この記事は約 2 分で読めます。
先日インターネットで調べ物をしていたときに、「一つ返事」という言葉に出会いました。
「ためらうことなく、すぐ承諾すること。」
という意味であれば、「二つ返事」(広辞苑第5版)が本来の言い方だと思うのですが、どこかで返事が一つ減ってしまったようです。
別のサイト記事の分析によれば、「ハイハイ」という返事の仕方は失礼に当たるので、「二つ返事」は好ましくないととらえられてしまったのではないかということでした。
なるほど、「返事は1回でいい!」なんていうお小言を耳にしたことがあるのは、私だけではないでしょう。
面白いのは、この「一つ返事」という誤用は、若者よりも年配層の方が多いのだそうです。言葉の乱れは若者の方が多そうですが、これについては逆なんですね。
「返事は1回でいい!」と叱る立場に回ることが多いがゆえに、「『二つ返事』は間違いかな?」と勘違いしてしまうのかも知れません。
言葉は生き物なので、はじめは誤用でも、そのうちそれが正しい使い方になることもあるでしょう。
変化した言葉としてよく引き合いに出されるのが「新しい」という言葉です。「新」という漢字の読みにならえば、「あらたしい」と読むべきところが、今では「あたらしい」が定着し、それが正しい読みになっています。
「直截」という言葉は「ちょくせつ」と読みますが、少なからぬ人が「ちょくさい」と読みます。裁判所の「裁」の字に似ているせいもあるのでしょうが、わが業界に多く見受けられる誤読です。
「すべからく」という言葉もよく誤用されますね。「すべからく」に「すべて」という意味は全く含まれていませんが、
「今般成立した◯◯法はすべからく国民が反対している」
というように、「すべて」の高格調タイプのように誤用している人をよく見かけます。
字の形が似ていればいいというなら、「木村拓哉」を「きむらたくさい」と読んでもおかしくないはずです。
「すべ」だけ合っていればいいのなら、「すべり台」を「すべからく」に置き換えてもいいはずです。
でもそんなことはありませんね。
いつの日にかそれが正しいという時代が来るとしても、やはり今のうちは、人の間違いを追認するのではなく(どこかの閣議決定もしかり)、訂正したいものだと考えています。
関連記事
-
命を守る行動を
暑中お見舞い申し上げます 昨日北東北も梅雨明けとなり、8月を迎える前に全国的に本 …
-
入所から1年が経ちました!!
私が東京中央法律事務所に入所して、遂に1年が経ちました!(正確には1年1ヶ月です …
-
ネット選挙運動できるんです
第24回参議院議員通常選挙が公示されました。 今回の選挙から有権者の年齢が18歳 …
-
道半ば
日本では大型連休中だった5月5日、世界保健機関(WHO)が新型コロ …
-
あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます 本日より仕事始めとなりました。 本年もよろしくお …
-
言うまいと思えど
中学校の英語の授業の時でした。 教室に入ってきた先生が黒板にこう書いたのです。 …
-
あけましておめでとうございます
東京中央法律事務所も本日から仕事始めとなりました。本年もよろしくお願いいたします …
-
幻日(げんじつ)
今日は、調停のため足利簡易裁判所まで出張しました。 時間があれば史跡足利学校の見 …
-
21世紀の子どもたち
先日、母校の高校で授業をしてきました。 「総合的な学習の時間」の一環として、母校 …
-
事務所の目印
私たちの事務所が入居している大台ビルは、1階にはテナントスペースがないので、ご …