弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

試合終了

 

この記事は約 2 分で読めます。

ラグビーで試合終了のことを「ノーサイド」と言いますね。試合が終われば、サイド、つまり敵味方の区別がなくなって、むしろ同じゲームを戦った仲間をたたえ合おうということのようです。
もっとも、外国では「FULL TIME」というのが一般的で、「NO SIDE」と言われてもピンと来ないそうですが、「ノーサイド」の精神はラグビー以外でも再認識されていいように思います。

先日、都議選最終日に、秋葉原で街頭演説をした自民党総裁が、ヤジの声を上げる聴衆を指差して、

こんな人たちに負けるわけにはいかない

と発言したことが取り沙汰されています。
選挙ですから、自党の政策をアピールするだけでなく、他党の批判をすることはあるでしょう。しかし、有権者を少なからず含んでいるであろう聴衆を「こんな人たち」呼ばわりしたのは、いかにもまずい発言でした。政治家が、有権者を「こんな人たち」と「そうでない人たち」に線引きして、前者を敵対視するとは、何と奢った考えでしょうか。何か根本的な心得違いがあるようです。

選挙を終えて、政党間が「ノーサイド」になってしまったらただの翼賛政治ですから、これは困りますが、少なくとも、共に議論し合うという意味では、お互いに敬意を払う態度は必要です。
そして、都民、国民のために何が望ましいのかを議論するのが政治家の役目なのですから、都民や国民を敵と味方に線引きしたり、ましてや一部のお友達だけに便宜を図ったりするのは、もはや政治家の風上にも置けないので、退場に値すると言わざるを得ません。ノーサイド以前の話です。

 

 - 社会 ,

  関連記事

無期転換ルール取組促進キャンペーン

  厚生労働省が、今日9月1日から「無期転換ルール取組促進キャンペーン …

ステイ・ホーム

新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、東京都は、今年の大型連休を「ステイ・ホ …

暴走列車の行く先

5月末までとされていた緊急事態宣言は、結局6月20日まで約3週間延長されることに …

刑事手続原則と一般国民感情

 ここ最近ネットやワイドショーを賑わせている話題の一つに、東名高速路上でワゴン車 …

末はハカセか

「末は博士か大臣か」などと子供の将来を期待することができた時代は、きっと子供にと …

沈黙と雌伏

アメリカの大統領選挙がなかなか決着しませんが、現職大統領が開票作業の差止めを求め …

三段論法

人間は死から逃れられない。(大前提) ソクラテスは人間である。(小前提) ゆえに …

ウクライナ

芥川龍之介は、羅生門で死人の髪の毛を盗む老婆にも、その老婆から着物を奪い取る下人 …

豊洲にしてもオリンピックにしても

連日報道されている豊洲新市場問題ですが、昨日の報道では、地下水から環境基準を超え …

取り戻すべきもの

新型コロナウイルスの世界的な蔓延がなければ、今頃は東京パラリンピックが行われてい …