オリンピックの「レガシー」
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東京オリンピックのための施設建設について、いろいろな意見が交わされています。あまりの総工費の高さに、新国立競技場の当初の設計が白紙撤回されたのは昨年7月のことでしたが、今では、ボート・カヌー会場、バレーボール会場、水泳会場などの見直しも進められています。
そうした中で、よく聞くようになった言葉に、「レガシー(legacy)」という言葉があります。
レガシーと聞けば、もともとは富士重工業の乗用車を連想する人の方が多かったのではないかと思うのですが、今ではそれが「遺産」という意味の言葉だということが広く知られるようになりました。
オリンピック閉幕後のレガシーとなる施設。
うーん、「遺産」って日本語で言ってはいけないんでしょうかね。
「負の遺産」とか言われると困るから? たしかに「負のレガシー」というのは聞いたことがありませんが。
ところで、遺産と聞いてもう1つ思い出すのは「世界遺産」です。
「世界遺産」は、英語にすると「world heritage」で、「遺産」には「ヘリテージ」という単語が当てられています。
レガシーとヘリテージ。
どちらも日本語に翻訳すれば遺産ですが、レガシーの方が狭い意味での遺産、つまり、親から子に相続される相続財産で、ヘリテージの方は、もう少し広い意味での遺産、その国や社会に受け継がれてきた伝統や文化なども含んだイメージのようです。
ならば、オリンピックの遺産も「ヘリテージ」の方が相応しいように思えてきます。だって、オリンピックの遺産って、何も形あるものだけではないはずです。
ところが、オリンピック憲章の中には「legacy」の言葉はあっても、「heritage」は見当たりませんでした。
何となくガッカリさせられた気がするのは私だけでしょうか。
遺産問題は、私たち弁護士もよく取り扱う問題ですが、そのうち「レガシー問題」なんて言われるようになるのかも知れません。何かピンと来ませんが、レガシーとしての遺産をめぐる争いは、いろいろな思惑が交錯して根が深い問題だということだけは間違いなさそうです。
(追記)
「レガシー」が流行語大賞の候補にノミネートされました。(2016/11/17)
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