弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

ほぼほぼ考

 

この記事は約 2 分で読めます。

a269b461c799b04c6c03db81d93c8b63_s

最近よく耳にする言い方で「ほぼほぼ」というのがあります。
「ほぼ」じゃいけないの? とも思いますが、「ほぼ」よりも100%に近い様子を表すのに、「ほぼ」を繰り返すことで意味を強めているのだろうなあと理解することができます。

もともと日本語には繰り返し表現がたくさんあって、例えば、人々、山々、神々、諸々、等々いくらでもあります。ただ、よく見ると、これらはどれも複数を表すために言葉を重ねているもので、言ってみれば足し算(もしくは、その繰り返しとしての掛け算)なんですね。人がたくさん集まっている様子を、「人人人・・・」とするのではなく、「人々」で表してしまうわけです。

これに対して「ほぼほぼ」は、ちょっと面白い。
「ほぼ」は割合を表現しているので、これを重ねると、足し算というより、累乗っぽくなります。
仮に「ほぼ」が90%だとした場合を考えてみましょう。
90%を2乗するとおかしなことになってしまいますが、残り10%の方を2乗すると1%になります。
そうすると「ほぼほぼ」は99%という計算になる。
あるいは、「ほぼ」の残り10%の、さらに90%を上乗せすると考えても同じ結論です。

はじめに「ほぼほぼ」という言葉を使い出した人がそこまで考えていたかは分かりませんが、やや質の異なる重ね言葉なのかも知れません。

ところで、最近「ギリギリ」という言葉を、「ギリ」と短く言うのを聞くことがあります。
基準値に限りなく近い、という意味では「ほぼほぼ」にも似ていると思うのですが、なんでこっちは短くなってしまったのでしょうかね。考え出すとキリがありません。

そのうち、「スレスレ」も「スレ」なんて言ったりして。

 - 話題

  関連記事

約束と異なる新しい判断

早いもので、もう6月も最終日になってしまいました。 安倍首相が消費税増税の時期を …

ミュージアム

ちょっと前に話題になった「ミュージアムの女」、ご存知ですか。 岐阜県美術館のFa …

一人大関

大関大の里が春場所と夏場所で連続優勝し、文句なしの成績で横綱となりました。初土俵 …

汚名をそそぐ

今日は年度末です。 今月の大きなニュースといえば、ワールド・ベースボール・クラシ …

瀬戸内寂聴さんの発言に思う

先週末、福井で日弁連人権擁護大会が開催され、これに先立って死刑制度に関するシンポ …

読み間違い

「責ニ任ス」  口語化される前の民法にはよく登場する言葉でした。「責任を負う」と …

英国が欧州連合離脱へ

正直、ほとんどの人はこの国民投票の結果を予想していなかったのではないかと思います …

ゴーン・ショック再び

新年明けましておめでとうございます。 本日から事務所も仕事始めとなりました。本年 …

犯罪人の移送と当番弁護士

一連の広域強盗事件で国外から指示を出していたとされる容疑者が、今日滞在先のフィリ …

ゴーン氏逮捕と人質司法

今週は東京地検特捜部による日産自動車の会長の電撃逮捕という大きなニュースがありま …