現在、尖閣諸島問題をめぐって日本と中国の関係は険悪なものとなっています。この間の日本側の対応、中国側の対応についてはそれぞれ問題があり、皆様の意見も様々だと思います。
ただ、こうした状況の中、肩身を狭くして息を潜めるようにして生活せざるを得ない人たちがいることにも思いを致す必要があります。それが、中国残留孤児やその家族たちです。残留孤児たちの中には、中国にいるときは日本人であるがゆえに「侵略国日本」の罪を一身に背負わされ、迫害を受けた人が少なくありません。そして、そうした残留孤児と苦難を共にしたのが中国人の養父母であり、配偶者だったのです。そして、残留孤児とその家族が、ようやくの思いで日本に帰国しても、「普通の日本人」としては扱われず、差別を受けてきました。
本来、日本と中国、両方の文化を知る中国残留孤児とその家族たちは、”日中の架け橋”となる存在ですが、残念ながら、日中関係が悪くなる度に、中国においても、日本においても、様々な嫌がらせを受け、息を潜めるようにして生活せざるを得ないのが現実です。
国家と国家との関係は時として緊張をはらむことがありますし、自国の権利、利益を主張すべきときには主張する必要があります。しかし、そうした両国間の狭間で苦しみ、傷つきながら生きている人たちがいるということを決して忘れてはいけないと思うのです。