家事事件について
家事事件というのは、家族や親族に関する事件のことで、離婚、養子縁組、遺言書の作成、遺産相続、成年後見、高齢者の財産管理などを指します。家事といっても、炊事・洗濯・掃除をめぐる問題ではありません、というのはよく言われるジョークです。
しかし、冗談では済まないのが家事事件です。「骨肉の争い」という言葉があるように、家族・親族間でのもめ事は、第三者が見るよりも、はるかに深刻であることが珍しくありません。
離婚問題は単なる夫婦だけの問題ではなく、子供の養育、将来の年金、ローンの負担、保険の取扱いなど、さまざまな問題をはらんでいます。結婚より離婚の方がエネルギーが必要といわれるのもうなずけます。
ドメスティック・バイオレンス(DV)やストーカー問題も、根源的には家事事件ですが、加害者と被害者という関係に立つ刑事事件に発展することさえあります。
遺産相続をめぐる争いでは、法的権利のある相続人だけでなく、その家族も巻き込んで、大変なお家騒動に発展してしまうこともあります。
こうした争いの中には、離婚や相続をめぐる権利関係についての誤解が原因となってお互いの不信感を招き、対立が先鋭化してしまうことさえあります。法律の専門家である弁護士がこうした事件に関わることで、無用な争いを避けることもできます。
高齢化社会の到来にともなって、高齢者の財産管理、特に成年後見制度に注目が集まっています。
成年後見制度と遺言の制度をうまく利用すると、まだお元気なうちに、将来の後見人と財産管理方法を定めておき、万が一の際に備えて、遺言によって財産処分の方法まで決めておくということもできます。
高齢者世帯で、お近くに頼れる家族、親族がいない場合など、こうした制度を利用するメリットがあります。
高齢化社会を逆手にとるように、高齢者をターゲットにした悪質商法、投資詐欺などが横行しているのも事実です。こうした場合にも、弁護士が財産管理を行っていれば、被害を未然に防ぐことにも役立ちます。
残念ながら、弁護士が管理している高齢者の財産を横領してしまった事件なども発生しており、大変に嘆かわしいことです。
私たち東京中央法律事務所では、万が一にもこのような事件を招かないよう、弁護士間の相互監視のもと、高い倫理性を持って業務に当たってまいります。