弁護士 服部 咲
2013年3月11日の提訴から、約4年半の審理を経て、2017年10月10日、福島地方裁判所にて、「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の判決を迎えました。私自身も、当弁護団に所属し、原告らが裁判所に被害を直接訴える本人尋問をサポートしてきました。
当日は、福島地方裁判所の正門前で多くの原告や支援者が集まり、判決の瞬間を今か今かと待ちかまえていましたが、生業弁護団員が掲げた「勝訴」「国と東電を断罪」という旗を見て、大きな歓声が裁判所に響き渡りました。
判決は、原発事故についての加害責任を国及び東電に明確に認め、原告らに対し、賠償金約5億円の金銭を支払えという内容で、生業弁護団が当初から目標にしていた国及び東電の責任を明確に認めた点に大きな特徴があり、しかも、原発事故が発生した直接の被害地である福島の裁判所がこのような判断をしたことは、全国で続いている同種の集団訴訟にも影響を与える可能性が高いと思われます。
加えて、国の審査会が示した指針等(中間指針等)に基づく賠償対象地域よりも広い地域を賠償の対象とし(例えば茨城県の一部地域も賠償の対象に含まれています)、さらに中間指針等に基づく賠償額を超える損害の発生を認めています。
もっとも、この判決は、全面勝訴判決ではありません。特に、賠償対象とならなかった地域も存在し、原告らの被害実態を必ずしも正確に反映している判決ではありません。そのため、生業弁護団はより多くの原告達の被害回復が図れる判決を目指し、控訴をしました(なお、国と東電も控訴)。控訴審は、仙台高等裁判所で行われますが、控訴審も全力を尽くして闘っていきたいと考えています。