弁護士　金井清吉

暑中お見舞い申し上げます

　国会で衆参各3分の2以上の議席に支えられた安倍首相は、念願の憲法改正の施行を、2020年までに実行すると言明いたしました。それも国民の抵抗感が少ない自衛隊を憲法9条3項に明記する改正を主張しています。現在の自衛隊を道具として「改憲」の実現を期しているのです。
　これまで改憲論は9条2項の削除を求めるものでしたが、これが国民の支持が得られないと見るや、単に3項に自衛隊を加え、更に加憲の必要のない教育無償化等も入れ飴をも用意しました。「加憲」でも、憲法で認められれば、自衛隊の性格は激変し、正式な「軍隊」として首相の指示で走り出します。軍法会議も認められるなど、他の憲法条文も次々と改正に動きだし、更に「国際的な平和と安全維持のため」などの言葉が入れば、際限ない外国派兵に繋がりましょう。将来の徴兵制度も視野に入ります。憲法は国家権力を縛る装置なのです。敗戦と酷暑の夏ですが、冷静に過去・未来を見据えて、十分な吟味をしなければなりません。