アメリカのトランプ氏のアメリカ第一主義・中間層貧困は「移民」が原因等として選挙に勝利し、我が国ではアベノミクスが国民の支持を得て総選挙で勝利してきました。その中で日銀も内閣に合わせ「デフレ脱却・経済成長2%」を目標に黒田総裁が着任して現在に至っています。しかしこの2%目標実現時期は、先々に伸ばされる事態となっているのです。私は、この2%目標は可能なのか、どんな条件が揃う必要があるのか?と思ってきました。たまたま新聞に日銀の中曽副総裁が、昨年初めアメリカで講演した記事がのっており、要旨は次のような内容です。
成長率を上げるには、潜在力を強めなければならず、その潜在成長率を2%にするのは、仕事に就く人が増えることと、労働生産性を上げることの2点が必要であるという。その想定内容は次のとおりといっています。
- 働く人の数は日本では減少を続けているが、これを年間0.5%上昇に転ずる必要性がある。その方法は①女性の労働参加率がスウェーデン並になることか、②全ての84歳までの高齢者(84歳の60%が健康者)の60%が元気に働くことを想定していること(この話には会場の笑いが入ったという)。
- 更に労働生産性は毎年1.5%以上伸びければならない(働く人が減少する前提なら3%の上昇が必要であるという)。なお、労働生産性の上昇率は、IT 産業発展がめざましい1990年以降のアメリカでも1.5%程度であるという。並大抵のことで実現できる数字でないことは、誰でも分かるものであると新聞は指摘していました。
これは結局実現不可能な内容なのです。そうだとすれば「移民」の受け入れということになるのか、さてアメリカのトランプ氏発言やイギリスEU離脱などでの反発を考えると容易でなく、いずれにしろ、高齢化社会の経済成長を巡る現実から誰も逃れられず、アベノミクスも例外ではないのです。人口が増加しなくても人々が幸福に満足して暮らせるにはどうするか、その追求こそ大事なのではないでしょうか。過去の歴史には、そのようなことが幾度かあったと言われているのですから。