弁護士 江森民夫/弁護士 井澤光朗/弁護士 船江莉佳/事務局 手島彩子
手島: 2020 年に東京でオリンピックが開かれることが決定しました。江森先生はどう思われますか。
江森: 何と言ってもスポーツの祭典だから、素晴らしい競技を目前に見ることができるし、自国開催に向けた盛り上がりの中でわが国のスポーツ水準を高めることになると思うので、意義のある行事となると思うよ。
しかし、オリンピック開催決定に至る経過を見ると喜んでばかりいられないなという感じがするな。
しかし、オリンピック開催決定に至る経過を見ると喜んでばかりいられないなという感じがするな。
井澤: そうですね。安倍首相は「15年続いた縮み志向の経済を、オリンピック開催を起爆剤として払拭していきたい」などと述べていますが素直に受け止められません。例えば著しく大きなスタジアムなど箱物の計画がされたことは建築家から批判されていましたね。
江森: 原発問題に関しても、安倍首相が、東京招致のプレゼンテーションの後の質疑応答の中で「汚染水の影響は港湾の0.3平方キロ以内に完全にブロックされている。」などと根拠のないことを述べたことは大きな批判を受けていたよ。
船江: 汚染水問題も含め原発問題については一日でも早く収束させないといけませんね。
手島: 1964年にも東京オリンピックが開かれましたよね。
井澤: 私は当時小学校の2年生で、社会のことはよくまだわかりませんでしたが、東京でオリンピックを開けたことに一種の感動がありましたね。
江森: 当時は高度成長期の頃で、日本が欧米の先進国に追いつけ追い越せという時代で、東京オリンピックを機会に東海道新幹線や首都高速道路などが建設されていき、その首都高速道路の下に日本橋が埋もれてしまったということもあったなぁ。あの時は突貫工事で仕方なかったのかもしれないけれど、景観としてはもったいないことをした。次の東京オリンピックでは機能だけでなく環境や景観に配慮した計画にしてもらいたいものだ。
手島: 前回の東京オリンピックで印象に残っていることはどういうことですか。
井澤: 今やっている競技のなかで、女子の競技が圧倒的に少なかったことが印象的ですね。例えば、女子柔道、女子レスリング、女子サッカー、女子マラソンなどは当時の種目にはなかったですから。
手島: ずいぶん時代の違いを感じますね。
船江: そういえば、前回の東京オリンピックは秋に行われて、体育の日ができたんですよね。最近の日本の夏の暑さは異常ですので、そのなかで競技をやることには選手の健康状態にとても不安を感じますね。
井澤: 確かにそれはそうですね。選手が思う存分力が出せる環境を整える必要はありますね。それに、オリンピック後のことも考えて施設や街作りをするようにしたいですね。
江森: 東京オリンピックのためのインフラ整備のために,建築資材の高騰や作業員の不足で,被災地再建・復興のための工事が遅れたりするようなことがないようにしないとね。
手島: オリンピックを開催するためのコストも莫大なものになりそうですね。
井澤: コンパクトな大会を目指しているとはいうけれど、実際の費用が予算を大きく上回る可能性もあるから、お金がどのように使われるのか、財源をどうするのかなど、しっかり見ておく必要があります。
手島: 東京でオリンピックが開催されるとなると、他にどんな変化が期待できるのでしょうか。
船江: 公衆ネットワークや公共交通機関の充実、バリアフリーの推進、外国語表記の充実、防災に目配りした都市整備といった東京をさらに魅力ある国際都市にするための工夫が加速するのではないかしら。
手島さんはオリンピックのどんなところが楽しみですか。
手島さんはオリンピックのどんなところが楽しみですか。
手島: いろんな意見があると思いますけれど、私は基本的にオリンピックが好きです。世界中がひとつになるような平和な感じとか、選手のひたむきな感じとか、そういった雰囲気が好きなのかもしれないです。今まではテレビを通してしか知ることができませんでしたが、今度は実際に東京で開かれるのだから、その雰囲気を肌で味わうことができるということが一番楽しみです。
船江: 私はどのオリンピックもあまり関心がなかったのですが、東京での開催が決まって結構楽しみになってきました。個人的には、未だにマスターできていない英語をオリンピックまでにはどうにか身につけてボランティアに参加したりしたいなと思っています。
井澤: 2020 年の東京オリンピックが、世界の人たちに東京だけでなく日本の素晴らしさを知ってもらい、実際に日本各地を訪れてもらえるきっかけになってほしいですね。
江森: 世界にスポーツの素晴らしさを伝え、理念である「復興五輪」をきちんと形のあるものにしたいね。