児童虐待は、10年ぐらい前から注目されるようになり、児童虐待防止法が出来たのも2000年のことです。児童相談所での相談件数は、現在年間約3万件で、10年前の10倍に増えていますが、まだまだ隠れているといわれています。
児童虐待防止法では、「児童虐待」について、親権を行うものなど児童を現に監護する保護者による、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の四つの類型を挙げています。2004年の改正で心理的虐待には、配偶者に対する暴力(DV)による影響も含まれるとされました。ネグレクトというのは、食事を与えないなど養育の放棄ということですが、保護者以外の同居人による虐待を放置することもこれにあたります。児童虐待があると思われる児童を発見した誰にも、福祉事務所、児童相談所、市区町村などへの通告義務が定められています。通告があると、児童相談所が児童虐待があるのかどうか調査を行い、保護者への援助や必要に応じて「親子分離」による救出を行います。これには、一時保護や、児童養護施設などの福祉施設への入所や里親への委託などがあります。保護者が同意しない場合は、家庭裁判所の承認を得てでも行います。両親の一方が虐待をしているときには、離婚や親権者の変更や親権喪失の手続なども考えられます。
ご相談のケースは、一人で頑張って働いているお母さんを助けようと、お兄ちゃんが留守を守って懸命に妹の面倒を見ようとしているようですね。しかし放置するとネグレクトなどの児童虐待に発展することも考えられます。お母さん一人ではどうにもならないことも多いでしょう。近所の方の手助けや、様々な公的な援助を頼ることも必要ですよね。各地に「子ども家庭支援センター」なども設けられていますから、そういう情報提供もしてあげて下さい。