ほとんどの方はご存知なかったと思われますが、昨年秋にラグビーのワールドカップがフランスで開催されました。前大会に続き日本も参加をしていましたが、日本では、予選プールの中の日本戦と決勝トーナメントの一部の試合が深夜の時間帯に放映されただけなので、よほどのラグビーファンでないかぎりご覧になった方はいないと思われます。

 しかし、サッカーほどではないにしろ、この大会は世界で40億人の視聴者がテレビ観戦をするといわれるほどの人気があり、決勝ラウンドでは開催国フランスのサルコジ大統領も毎回スタジアムに応援に来るという力の入れようでした(フランスは惜しくも準決勝で敗退しましたが)。世界の超トップレベルが競う「格闘技」は、日本で見るラグビーとは別の競技かと思えるほどの質の高さを見せるものであり、ファンとしては見逃すことができない一大イベントでした。日本でもCS放送では、予選プールから全試合を放映していたので、私も眠い目を擦りながら、翌日の仕事を気にしつつも、深夜1人で大いに興奮をさせてもらいました。

 「荒ぶる」とは、大学ラグビーの雄である我が母校の部歌ですが、まさにラガースピリットを大和言葉で表すのにぴったりとした言葉だと思います。力だけではなく、気力だけでもない、「荒ぶる」心をいかにコントロールし、プレイヤー各自がその能力に応じた力をどれだけ発揮できるか、ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワンの精神をいかに結果=得点に結びつけるか、何か人生にも通ずるものがあるようです。スクラムを押し、キックで陣地を確保し、タックルに堪え、ステップで敵をかわしてゴールに倒れこみ、トライをした瞬間の達成感は、困難な裁判を戦い抜き、勝訴の判決を得た瞬間の喜びにも似たものがあるといったら、言いすぎでしょうか。