1、 昨年11月14日、新補給支援法案が衆議院本会議において、野党の反対・欠席の中で、自民・公明両党の賛成多数で強行採決され、参議院に送られた。参議院では野党が多数のため、否決される可能性が高く、その場合、自民党は衆議院での3分の2の多数で再決議しても同法案を通そうとする公算が大であるといわれている。これは屡々延長を繰り返してきた旧法案が11月1日で失効したことを受けての暫定措置であるが、旧法と同様、同法案も、①給油等に限定したとしても、軍事行動を支援する重要な機能を持つもので、武力行使に直結しており憲法9条1項に違反することは明らかであり(補給艦「ましゅう」が給油した米海軍の「イオウジマ」強襲揚陸艦が艦載している攻撃機がその後136回もアフガンへの空爆を繰り返し多数の民衆を殺戮していること等)②また、野党の否決を回避するため、従来の周辺事態法、イラク措置法、テロ措置法等がいずれも国会の承認手続を必要としていたのに、新法がこれら国会承認規定を削除しているのは、憲法の国民主権、議会制民主主義への重大な侵害といわなくてはならない。ましてアメリカ主体の対テロ戦争は,ロンドン多発テロなどの「報復の連鎖」を生み出しており実際の効果の点からも全く無意味である。
2、 雑誌「世界」07・10月号の川端清隆論文によれば、アフガンでは9・11以来、国連和平活動を支援するISAFと米主導の対テロ戦争が行われ、前者は国連による和平実現の為の防衛的活動で、後者は、テロ殲滅の攻撃的作戦で別物であり、この点で「米軍中心の活動を直接的に規定する安保理事会決議はない」とする小沢発言は誤りではないとしており、しかもこの乖離が拡大したのは米軍が対テロ戦争専念を口実に、多国籍軍の協力を拒絶したためであるという。また、半田滋東京新聞編集委員は安倍首相辞任の昨年9月12日現在取材でドバイに居た人だが(法と民主主義07・10月号)燃料の無償提供は、9・11直後の緊急時に憲法の制約のもとで日本が提案したもので、政府は「テロとの戦い」というが対テロ特措法の本質は対米支援にあったとする海自幹部の発言をのせている。日本は今後憲法9条の原点に立脚した世界平和実現の為の真の国際協力のあり方を模索し、かつ実践すべきである。