弁護士 船江莉佳
私は、2010年8月29日から同年9月1日にかけて、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会食品安全部会の一員として、韓国ソウルにある食品安全に関わる行政機関(韓国食品医薬品安全庁、韓国保健福祉部及び韓国農林水産食品部)並びに消費者団体である韓国消費者連盟を訪問してきました。
韓国訪問の目的は、平成22年12月3日に日弁連の主催で開催するシンポジウム「あるべき食品安全基本法について~食の権利宣言~」において、食の安全を脅かす事件が多発している我が国の現状において食の安全に関する法令や行政のあり方を検討するにあたり、我が国よりも食品安全の分野において消費者参加が進んでいる韓国の取り組みを調査することでした。
韓国においても、食品に対する規制が各省庁に分断され、統合されていないなど我が国と共通する問題点はあるのですが、他方で、我が国とは異なり、食品に関する基本法である食品安全基本法及び食品衛生法において食の安全が消費者の権利として位置づけられるとともに、食品安全行政への消費者参加を積極的に認める制度(例えば、食品安全政策など食品に関わる事項についての審議委員会の構成員のうち、3分の1以上が消費者団体から推薦を受けたメンバーとなっています)など大いに参考とすべきところがあり、いずれの訪問先でも食の安全は消費者の権利であるとして消費者本位で考えていくべきとの認識で一致していたことには驚かされると共に感銘を受けました。