4月1日から、親権などの民法の改正が施行されています。「しつけ」と称する子どもの「虐待」が起こるなど、子どもの権利条約の時代に相応しい親権の在り方を示すための見直しが求められていました。
改正民法では、親権者の子どもへの監督保護(監護といわれます)や教育の権利は、子どもの利益のために行うもので、子どもに生活習慣などを身につけさせる、しつけや懲戒も、子どもの利益のための監護や教育に必要な範囲でのものと明らかにされました。
虐待など親権が適切に行使されていない場合、これまでは、親権を完全に奪ってしまう親権喪失の制度しかなく、家庭裁判所もその発動をためらう傾向がありました。そこで、完全に剥奪するのではなく、2年以内という一時的に親権を停止させて、子どもを不適切な養育から救い出しやすくする制度が設けられました。
親権喪失の要件も、これまでは、親権者を非難するような表現が基準に含まれていたのですが、これを改め、親権を行うことが、著しく困難な事情があったり、不適当な状態になっていることによって子どもの利益が著しく害されている場合に喪失させると、子どもの利益に照らした基準にしました。
親権停止の場合は、喪失の場合のように「著しく」なくても発動できるよう緩やかになっています。子どもの財産管理が不適切な場合の管理権喪失についても、親権停止と同様の要件に揃え、これまでの非難や財産への現実的危険を示す表現を改めました。
これらの親権制限は家庭裁判所の決定が必要です。その申立人は、これまでの子の親族などに、子ども本人、未成年後見人・未成年後見監督人が加わりました。子ども本人が、親権喪失・親権停止・管理権喪失などの申立人となる場合、現実には自らその手続きを進めることは困難ですから、家庭裁判所での手続を担当する手続代理人制度が、新たに設けられます。親権や監護に関する処分など、子どもに影響が及ぶ手続で、家庭裁判所が子どものための手続代理人弁護士を、申立または職権で選任する仕組みですが、こちらの施行は少し先になります。
親権停止制度と、「子」本人が申立人となりうることは、今後大きな意味を持ちそうです。今回の改正では、この他に、離婚の際、子の監護に関する事項としての面会交流や養育費などを協議事項と明記し、協議が整わなければ審判がなされることが確認されました。