今年4月20日、「茶のしずく石鹸(旧製品)」により小麦アレルギーを発症した被害者の方々が原告となって、製造物責任法に基づいて製造業者である株式会社悠香その他二社に対し、損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所など全国15か所で一斉に提起し、全国の原告数は536人、請求総額は約70億4000円に上りました(前記の被告三社は争うとしています。)。「茶のしずく石鹸」による被害救済のために、全国各地で弁護団が結成され、私は東京弁護団に加わっています。
「茶のしずく石鹸(旧製品)」によるアレルギー症状は、この石鹸を洗顔時に使い続けた結果、含有されている小麦由来成分であるグルパールという物質が、顔面の皮膚あるいは目や鼻の粘膜を通じて体内吸収されることにより発症したと考えられています。
本件のアレルギー被害の多くは、食後の運動によって誘発される場合が多く、具体的な症状としては、目のかゆみやくしゃみ、鼻水などの比較的軽いものから、瞼や目の周り、さらには顔面、全身の腫れ、腹痛・下痢などの消化器症状、さらには呼吸障害・意識障害などのアナフィラキシーショックといった救急搬送され生命の危険が生じる重篤な症状まであります。
小麦は、パンやパスタ、うどん、餃子の皮といった小麦が使われていることが明らかな食品以外にも、多くの加工食品(例えばハンバーグにはつなぎとして使われていますし、カレー・シチューのルーにも使われています)、さらには醤油などの調味料にも含まれています。したがって、小麦を除いた食事をすることは非常に大変です。食べたいものを食べられず、家族や友人とは別メニューの食事をしなければなりませんし、外食もままならないため、食事制限の負担が非常に大きいのみならず、精神的な負担も大きいものとなっています。また、食事に十分に気を付けているつもりでも小麦含有食品をうっかり口にしてしまうこともあるので、外出先でアナフィラキシーショック症状を万一発症してしまった場合に備えて緊急時の薬などを携帯している方もいます。さらに、食事制限に加え、食後の運動を控えないといけないため、日常生活や仕事にも不自由が生じています。
「茶のしずく石鹸(旧製品)」が発売されてから製品回収に至るまでの販売・流通期間は7年、その間に本商品は累計4640万個が延べ約466万7000人に販売されたと言われています。現在も各地の被害救済弁護団では被害者の方々の相談に応じております。